2020年6月3日水曜日

続けることと、始めること

たくさんのご支援ありがとうございます!


2020年6月に「学術書チャリティ」を通じて47,348円ものご支援を頂戴しました。日本各地からのたくさんのご支援に、心から感謝いたします。いただいたご寄付は、こどもたちの孤立を防ぐ居場所「まかないこども食堂たべまな」の運営資源として大切に活かしてまいります。
 
ご支援いただいたみなさまにはメールでお礼をお送りしておりますが、エラーが生じメールが届かないトラブルが生じております。大変お手数ですが、ドメイン kakecomi.org 受信許可設定していただき、info@kakecomi.org までご連絡をお願いいたします。


「あんちゃん」

この春からたべまなで働いてくれている、あんちゃん。
みんなから自然と「あんちゃん」と呼ばるようになりました。
「ねえあんちゃん」 
「あんちゃんきいてよ」
「あんちゃん、見て見て」
「あんちゃんちょっときて」
ひっきりなしに呼ばれるあんちゃん。「お兄ちゃんがほしいな」とは思っても、実際一緒に暮らしたらぶつかったりけんかをしたり、うっとおしく思ったりするかもしれない。気軽に甘えたり相談したりなんて、できないかもしれない。
1週間に1回会える「あんちゃん」って呼べる年上の友だち。その距離感が、子どもたちにとって「ほどよい」のだと思います。



 

私たちの願いと危機感

緊急事態宣言中であっても、私たちたべまなは「子どもたちの居場所」を守るために活動を続けてきました。緊急事態宣言が解除され学校が再開するにあたり、子どもたちにとって「第三の居場所」の必要性はまた別のフェーズへと移り、そして高まっていくと考えられます。
まず、「学校が辛い」子どもたちは休校解除によってストレスが高じ、その中でも不登校の子どもたちは公教育から再び疎外されてしまいました。
そして「学習の遅れ」を取り戻すための詰め込み日程によって、子どもたちの心身に過大な負荷がかかることが予想されます。
学校が再開し、子どもたちの「学ぶ権利」が回復したのは喜ばしいことです。ですが、学校再開でむしろ健康を崩してしまっている子たちがいます。何らかの理由で(多くの場合は学校での辛い経験や環境的なストレスによって)学校に行くことができない、不登校と言われる状態にあった子たちです。

学校再開の知らせに不安と恐怖が募って部屋から出られなくなってしまった子
体調を崩してしまった子
不安定な精神状態になってしまった子
 
そういった相談が既に複数寄せられています。
日本の不登校児童・生徒数は約16万人。「学校が辛い・行きたくない」と感じている「予備軍」と呼ばれる中学生の数は、不登校生徒人数の3倍にのぼるという調査結果もあります。「学校が辛い子」は、もはや特別な存在ではないのです。
不登校の子どもたち、そして保護者さんたちは、各家庭において公教育を受ける機会を切望してきました。しかしいくら家庭で学習をしても、学校側の「登校ありき」の姿勢は崩れず、歯痒く悔しい思いをしてきました。
それが今回の新型コロナ禍で、一転してオンライン授業等自宅学習を公的に保障することが前向きに検討されるようになりました。
訴え続けたことが「ほとんど全ての人が当事者になった」ことでようやく動き出したことに、複雑な心境となった保護者さんも少なくありません。それでも、これを機に実現するのではないかという期待が高まりました。
 
しかし、結局のところ、何ひとつ変わらないまま学校が再開しました。
子どもたちは、ほったらかしにされただけでした。
学校に行けない子たちは、再び放置され続けるのでしょうか。
 
そして休校期間中ただ放置されてきた子どもたちを、今度は「学習の遅れを取り戻す」というプレッシャーが追い詰めています。県内のいくつかの自治体では、既に夏休みの大幅短縮や土曜授業、1日7時間授業などが検討されているようです。
私たちは、そのような「授業時間増」の措置に断固として反対いたします。
授業時間増加/休日縮小の措置では、子どもたちだけでなく、教師たちの健康が損なわれることは確実です。休校期間中、子どもたちは学習サポートがほとんどないまま放置されました。その結果生じてしまった遅れを取り戻すために、子どもたちに更なる負担を強いることは、あってはならないと考えます。
「既にたくさん休んだのだから、夏休みくらい削ってもいいじゃないか」と言われるかもしれませんが、そうではありません。夏休み明けに子どもの自死が増えることは、既に広く知られています。今回の休校は、新しいウィルス感染への不安や恐怖というストレスも重なり、夏休みかそれ以上のインパクトを子どもたちに与えることが懸念されます。子どもたちの心の健康(メンタルヘルス)を守るためにも、通常以上の負荷をかけることはあってはなりません。むしろ負荷を減らすことが必要です。
子どもたちに負担を強いることなく「学習の遅れ」をフォローする方法はあります。詰め込みすぎたカリキュラムの見直しです。
今の学校、特に小中学校のカリキュラムは、教育の本質から離れた(特に企業や外部団体の要請に応えるための)様々なプログラムによって圧迫されています。そういった様々な授業や行事や講座等を減らすことで、カリキュラムには相当な「ゆとり」が生まれるはずです。そうすれば、人員や時間を増やすことなく「学習の遅れ」に対応できる他、今後の再流行を見越した対応も可能になるのではないでしょうか。
 
ネグレクトに等しい休校からの登校再開が子どもたちのメンタルヘルスに与えるネガティブな影響について私たちは、危機感を募らせています。そんな私たちの願いはふたつです  
まず、「登校ありき」の公教育を見直し、各家庭において(登校せずとも)教育を受けられるよう、オンライン教育や通信教育のシステムを公的に整備、均てん化してください。
そして、これ以上子どもたちに負担をかけることがないよう、教育の中身を見直すことを避けないでください。子どもたちは既に多くの負担を引き受けました。今度は大人たちが「変える」責任と負担を引き受ける番ではないでしょうか。



続けることと、始めること

緊急事態宣言中も、たべまなは感染症対策に留意しながら変わらず活動を続けてきました。さらに、外出が困難になってしまった子どもたちへの対応として、
・食事のテイクアウト/デリバリー
・アウトリーチ(訪問)支援
といった試みを新たに導入しました。このふたつの事業は、今後半年程度は継続する予定です。
また、登校再開によるストレスを受けている子どもたちや不登校の子どもたちの学びと活動の機会を支えるため、
・たべまな卒業生と子どもたちをオンラインでつなぐ、オンライン家庭教師事業
・少人数制の料理教室
の2つの事業を新たに始めます。オンライン家庭教師事業は、企業助成金とみなさまからの寄付金を活用し、アルバイトの減少によって生活に困難が生じている大学生OB/OGたちを報酬によってサポートする予定です。
料理教室は、新型コロナ禍において更に損なわれてしまった不登校の子供達の活動機会を支える試みです。たべまなは、子どもたちが料理をする「まかないこども食堂」ですが、現在は感染防止のためスタッフのみで調理を行っています。「はやく料理がしたい」と調理活動再開を楽しみにしてくれているのは、学校に行けず「やること」が見つけられないでいる子どもたちです。そんな子どもたちと店主とでランチを作って食べる料理教室を、週1回程度開催します。定員は1名〜2名までの、超少人数制です。参加の予約については「たべまな」開催時に受け付けます(来週は既に予約が入っています)。
 
「自粛より工夫を」を合言葉に、私たちはいかなる時も活動を続けてまいります。
   
 
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引き続き応援をよろしくお願いいたします。